2008年10月25日
自分で考え自分で創造性を発揮する自立のマネジメント
有限会社 共和堂
取締役 米澤晋也(よねざわしんや)氏
<プロフィール>
1971年 長野県上伊那郡辰野町生まれ
1995年 武蔵大学経営学部卒業
家業である新聞販売店『共和堂』を継ぐ
辰野町では新聞販売世帯ほぼ100%のシェア
2006年9月 優雅な朝を提供するサービス
『Kotoriカフェ』サービス開始
2006年 『社長のアカデミー賞2006グランプリ』受賞
『社長のアカデミー賞2006仕事ごころ』受賞
2007年 信濃毎日新聞社より書籍売上表彰
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<社長のアカデミー賞トロフィー>
Q.スタッフ構成を教えてください。
会社を継いだときは65歳以上の社員が6名でしたが、
今では正社員4人、パート・アルバイトが45人です。
Q.スタッフさんにどんなことを望まれていますか?
『自立している』ことと『人に喜ばれることが嬉しい
というスイッチがONになっている』ことです。
『人に喜ばれることが嬉しい』という回路は誰もが持っているのですが、
それがONになっていない人をONにさせるという事はなかなか難しいんです。
ある時「人に喜ばれてみませんか?」という応募チラシに
変えたんです。すると、そういう人が反応してきた上に
応募人数が格段に増えました!
人の働く動機が変わってきた・・・と実感しましたね。
採用前には1対1で会社説明をしているのですが、
その時に必ずお話しすることは、
「仕事を通してどうやって自分の人生を開花させるかは
あなたにお任せします。 でも、それは自由にやって良いけど
好き勝手はダメだよ。
あなたが輝くための支援は全力でするよ。」という事。
好き勝手は「自分中心」。考える範囲が狭いんです。
自由というのは、
チーム全体・会社全体・お客さん・自分達の人生にとって
良いこと(楽しい・楽しくないの判断)の全部を満たした判断をすれば
どんな事をしたって良いんです。
面談の時点で「自由だけど責任重いんだな」という覚悟をして
入社してくれています。
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<スタッフさんが出してくれたお茶を持ち上げると
茶托の上にメッセージが隠されていました♪>
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<ここにも別のスタッフさんからのメッセージが!>
Q.どのようなチーム作りをされていますか?
昔は「自分が引っ張っていかなくちゃいけない」と思っていました。
単純作業の繰り返しの時代はそれで良かったんです。
でもこういうピラミッド型の組織では活性化しません!
今のようにビジネスが複雑になり、
『お客さんを喜ばせてやってくれ』って言っても
それをどうやったら良いのかいちいち指示を出すことはできませんよね。
自分で考え、自分で創造性を発揮してくれなくちゃいけない。
今は自立のマネジメントなんです。
私が、スタッフを引っ張っていかないといけないと
思っていた頃って結局、駄目な社員が好きなんですよ。
「コイツは俺が居なきゃダメだなー」ってね(笑)
それで自分の存在が認められる。
僕がヒーローで、僕にスポットが当ってる状態ですよね。
SONYでCDを開発した天外伺朗さんの著書
【非常識経営の夜明け】にも、これからの経営は
『スタッフにスポットを当てていく経営』だと書かれています。
管理があってはならないし、小利口な屁理屈があっちゃダメと・・・。
そこには、まさに共和堂がしている事が書かれていて驚きました。
社長は一番地味な存在で、
スタッフの成功をサポートをする影の役割なんです。
すべてのスタッフはお客さまの喜びの為に存在する。
お客さまに喜ばれることを通じて自社の発展と人間的な発展を実現させるんです。
そう考えると、全員が同じ役割なんですね。
最初の頃のスタッフは入社の動機が『賃金』なので、
人に喜ばれる・・・という話しをしても言葉が通じませんでした。
でも今は、言わなくてもそういう雰囲気ですね~
チーム全体で気付き合えるチームができています。
社員はお互いを観察しあい、誉めるに値する行動をしていたら、
その場で社長に報告するんです。
「○○さんの○○○○○○は誉めるに値すると思います!
なぜならば、○○○○○だからです。」
みんな、その場で仕事の手を止めて
実践者と報告者の両方を賞賛し、『ツキを呼ぶ他喜力スタンプ』
というカードにスタンプを押します。
配達員さんなど、その場で誉めてあげられない人には
遅くても翌日には『誉めるカード』に書いて渡して誉めます。
お互いの行動を観察し、記録し、賞賛してシェアする事が
今では風土として根付いてます。
その日々の報告の中から私自身が見て良いと思った事例を
『ワクワク通信』(社内報)にピックアップします。
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<月一の社内報『ワクワク通信』>
繰り返しでスタッフの感性がドンドン育ってくる。
心に根を張り、人を喜ばせる行動をとる人になっていきます。
明文化されている就業規則なんかと違って、コレは解ることじゃない。
こういう事は感動したときに覚えるんです。
Q.賃金制度などのようにされているんですか?
賃金制度は等級・号などしっかりしています。
新聞配達員は業績と関係なく、何軒配ったらいくら。
そういう業務のタスクをこなすのはアルバイトの仕事です。
正社員は、計画性の高い仕事なので業績に連動しています。
成績評価をして分配を変えるということはせず、
その分配は仕事内容に応じて割合は平等です。
以前、成果主義に基づく賃金制度を取り入れましたが、
競争原理が働くと奪い合いの発想なので絶対に調和は生まれません!
そもそもそれって経営者の責任を
放棄したマネジメントの仕方だって気付いたんです。
『繁栄の設計図』(事業計画)は
全員が成功しないと達成しないんです。
だから社内で1人でも負け犬を作っちゃダメなんです!
「私はあの人よりやった」と言うスタッフが居たとしたら、
それは全く自分の事しか考えていない。
会社全体を考え、その子をサポートするように言いますね。
Q.与えた仕事が出来ないスタッフに対してはどのようにされていますか?
そもそも苦手なことを克服してやるような
仕事はさせちゃいけないんです!
今の仕事よりもっと輝けるフィールドがあるはず!
経営者はその設計図を書いてあげないといけない。
当然、難易度・責任の高い仕事の賃金は高いです。
でもそれによって賃金は下がることを伝えた上で
もっと輝けるフィールドを用意してあげれば良いんです。
それでないと一生その人は輝けないんです!
神田昌典さんがマネジメントを桃太郎伝説に例えて話されてるんですが、
桃太郎の物語で鬼を退治するという目的に対して
実はキジって何の役にも立っていないんです!
でもキジは人間関係の調整役(まとめ役)なんですよ。
それって人事制度の中にはないでしょ?
そういう役がこれからは重要なんですよ。
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<帰りに部屋を出るとホワイトボード一杯に
メッセージが書かれていました!>
Q.目標管理もユニークな方法を取っておられますよね?
スタッフが自分の自由でやり、個性を活かし、
「俺っていけてるじゃん」って思う仕事をして人生が開花する。
これを実現させるための取り組みです。
まず、私が作った『共和堂の繁栄の設計図』を社員に説明し
理解してもらいます。(一般には事業計画説明会)
そして、このモデルのどこを担当するかを
社員同士で話し合って分担を決めてもらいます。
担当が決まれば自分で目標を決め、
『自分の分野の繁栄の設計図』を描きます。
そして、それを時系列にまとめた計画書、
『お遍路システム』に落とし込みます。
もうこの通りにやれば必ずうまくいくというもの!
これはこの通りしてもうまくいかないと思ったらやり直し。
GOサインまで1ヶ月かかる事もあります。
あとは1週間に一度、結果と進捗(このままいったら
自分の描いた未来日記通りなるのか)報告をさせています。
報告に来ない人には仕事を任せません!
報告を受けないで任せているのは
私自身が丸投げ・仕事を放棄しているという事ですから。
大抵はこの時点で他のスタッフに相談して
改善策を持ってきますね。
ウチは会議というものが無いんです。
いつでもミーティング、自分達でアイデアを作り出しています。
もう僕の支配下ではないです。
「私が居ないとダメだろう~」というエゴをなくす事が
結構辛いんですよね~(笑)
毎週チェックして精一杯やって、それでもダメなら最後はあきらめる!
GOサイン出したら社長の責任なので、
責任を負わされる事はありません。
目標達成した人には、
5日間の休暇と5万円の特別手当を与え、
自分に磨きをかけるための『未知との遭遇』に使うように指示しています。
会社のためにやる人は居ません。
でも、自分達のためになることはやるんです。
『他社から欲しいと言われる人材を作る』事が目標です。
その絵に描いたモチを食べられるモチに変える。
「私っていけてるジャン」と思えるような人に
なれるものならなりたいとみんな思っているんです。
Q.社内表彰はどのようにされていますか?
『ありがとうカード』からピックアップされたものが
『ワクワク通信』(月1)に掲載され、
その中から年一度の表彰式『日本一のスタッフ大賞』で表彰されます。
そして年末に『日本一のスタッフガイドブック』を作って
全員に配っています。
表彰の対象者は行動した人で、結果を出した人ではありません。
最も全員にとって学びのある行動をした人が『グランプリ』です。
忘年会の時にしているのですが、
表彰式は真剣な儀式である事を伝えるために
スーツに着替えて音楽やDVDの演出にも懲りました。
DVD映像には表彰式に出席したスタッフ全員が登場し、
各部門のリーダーがねぎらいの言葉を生で伝えます。
配達のおじさん達の涙腺もゆるんで、
ウルウルしてるんですよね~
表彰式はモチベーションアップしますが持続はしません。
でも下がっても以前よりはチョットは上がっているんです。
ジグザグの繰り返しで成長していくんですけれども
その落ちる幅を少なくするには
徹底的に行動させて「それだよ!」と認識させる事なんです。
こういうスタッフを誉める『しくみ』と
表彰という伝える『場』を作るというコトが大切だと思います。
Q.経営者さんへアドバイスをお願いします。
ウソでも良いから『スタッフの人生のために』
っていうことを言う事と書く事が大切だと思います。
実は私も最初は自分が儲けたいだけでした。
『これって私、いけてるジャン!大作戦』なんて言いながらも
最初、スタッフの人生が開花するなんて全く思っていなかったんです。
でもそれだけじゃうまくいかないって気付いたんです。
みんなが輝かないと自分も輝けないし
自分の目標も達成しないんですよ!!!
まずは言ってみるんです。おかしいなと思ったら変えれば良い!
変えて変えて、だんだんしっくりしていくんです。
自分も変わるし言葉も変わる。そうしてお互い近づいていくんです!!
あとは、経営者の判断基準が正しいか正しくないかだと
合理的でつまんない活性化しないチームになります。
楽しいか楽しくないか、美しいか美しくないかが判断基準だと
チームが活性化し良い循環が起こります。
お客さんに良いことをしてあげると、
お客さんがモノを買うという行為で返してくれる!
その循環をしくみ作りするのが経営者の仕事ですね。
『商業界10月号』に5ページにもわたって
共和堂さんのビジネスモデルが紹介されています!
12月に行われる表彰式にもお伺いして
取材させていただける予定になっています。
その様子は『表彰式取材日記』で!
- by エヌエス
- at 20:02
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