2009年08月18日

共通言語が介在して初めて経営理念を共有できる。

四国うどんグループ
http://www.happyfood.jp/
代表取締役社長  栗田 太樹氏

■貴社の事業内容を教えてください。

寝屋川市・交野市・四条畷市を中心に、
「四國うどん」をはじめ、全7店舗の飲食店を経営しています。
創業は昭和43年ですから、社歴は40年を超えます。

内訳は、うどん「四國うどん」が2店舗、
ベーカリー喫茶「窯火堂」が2店舗、
とんかつ「かつ辰」が2店舗、
焼肉「カルビ屋大福」が1店舗です。

 

当社のこだわりは、「手作り」の精神
本物を作って、直接お客さまに食べていただききたい」。
先代(現会長)の想いを、ずっと守り続けてきました。

例えば、あんぱんに使う“あん”も、うちでは手作りなんですよ。
還元糖を使用するので、上品な甘さに仕上がります。
とんかつに付く味噌汁の味噌も、
大豆から約1年半発酵させて作っています。


■スタッフ構成を教えてください。正社員は約20名。
さらに社会保険に加入している準社員と、
パートトレーナー、パート・アルバイトさんを含めて、
従業員は全部で約200名になります。

年齢層は、30~40代が中心ですが、
7年前から新卒採用を始めましたので、
20代の若手も多いですよ。

■社員表彰をされているとお聞きしましたが
 どのようにされているのですか?

表彰は、年1回の創立記念式典の際に行います。
その日は、パートさんも含めて100人くらいが集まり、
ほぼ丸1日掛けてやるんですよ。

まず10時~14時までの第1部は、経営計画発表会
銀行の担当者にも列席してもらい、経営計画の発表や
全員で経営理念の唱和などを行います。
これは、大きな会議室で、割とかしこまった雰囲気の中で進みます。

それが終わると、雰囲気がガラッと変わります(笑)。
第2部は、ホテルの宴会場へ移動して、
食事をしながらの表彰式

売上や実績を考慮した「最優秀店舗賞」、
各店舗の店長が決める「優秀スタッフ賞」、
3・5・10・15年の「永年勤続」、
サンクスカードをもらった枚数で評価する「サンクスカード賞」、
店舗の清掃状態による「環境整備賞」。
各賞の受賞者に、表彰と記念品贈呈を行います。

例えば昨年は、店長がタキシードを着て参加したり、
永年勤続表彰の方の娘さんに、手紙を書いてもらって朗読するなど、
毎年、感動を演出するような趣向を凝らしています。

■サンクスカードは皆さん書かれますか?

導入当初は苦労しましたが、
最近では、かなり浸透してきましたね。

店長には、月に30枚というノルマを課したりしています。
各店長に日頃から言っているのは、
何でもいいからスタッフをほめなさい」ということ。

一度やると決めたら、
本気になって浸透させようとしないと駄目
ですから、
現場への注文も自然と増えます。
でもノルマがある分、表彰などを充実させることでバランスを取るようにしています。

■栗田社長にとって、理想のスタッフ像とは?

会社の理念を理解し、方針に敬意を持ってくれるのが大前提です。
ところが、それだけだとただのYESマンでしかない。
その上で、自由に創造してもらいたいんですよ。
私の行動が、会社の方針とずれていたなら、進言して欲しい。

今はまだ、私に意見をくれるところまで到達していませんが、
就任してからの5年間で、かなり状況は改善されているように思います。

 


■経営計画書を手帳のような体裁にしているのも、
会社の方針を理解しやすいようにですか?

私が社長に就任した初年度の経営計画書は、
分厚く綴じられたただの冊子
でした。
だから、一旦発表してしまうと、
その後は誰も読まなくなってしまって。

これでは駄目だと思ったんです。

そこで考えたのは、手帳としても使えるようにすること
一年間のスケジュールが入っていて、
ポケットに入れて携帯できるんです。
従業員も目を通す機会が増え、
経営理念の理解も深まったはずです。

私は、㈱武蔵野の小山昇さんのもとで、
経営について修業をしたのですが、
手帳タイプの経営計画書は、
そこで教わったことを、アレンジして作りました。

■ほかに、社員教育としてされていることはありますか?

週に1回、本社か店舗で従業員と直接顔を合わせて、
アイドル勉強会”をしています。

ここでは毎回、教科書を使って価値観を共有するんですよ。
最近はずっと、伊與田覺先生の「『大学』を素読する」という本の
音読を繰り返していますね。
POPやお礼状の書き方の、勉強会をしたりもします。

  


勉強会の成果は、
方針理解度や商品知識の習熟度のテストを行って評価します。
テストがあると、みんな不思議と覚えようと努力するんですね。
先日初めて、テストで満点を取った店長が出ました。
勉強会の効果は、確実に上がってきていると思います。

また、清掃状況などの環境整備点検は2週間に1回、
必ず私自身がチェック
するようにしています。
賞与査定にも連動させているので、
各店長が取り組む姿勢は、真剣そのもの。
100点満点では満足せず、もっと上を目指したい。
そんな店長が多いですね。

■社員さんとのコミュニケーションで、意識されている事はありますか?
できるだけ、直接コミュニケーションを取るようにしています。

例えば、売上金の受け取り。
各店舗の店長が毎晩12~2時ごろに、お金を持ってくるんですが、
仮眠を取るなどして、その時間まで必ず待つようにしています。

さらに“直接コミュニケーション”を取れるよう、
全社で共有できるボイスメールシステムも導入しています。
これは、一つのサーバーにボイスメールを残し、
各店長がログインをして、伝達事項を聞くシステムです。
メーリングリストでも済ませられることですが、
声の様子など、
文面だけでは受け取れない機微を感じることができるんです

これを習慣づけてもらうため、
「各店長には、1日1回ログインすること」という
取り決めを課しています。

■社員教育における今後の目標を教えてください。

最初にお話したように、当社が大事にしているのは、
「手作りのものを、そのままお客さまに味わってもらいたい」という精神です。
従業員にこれを実践してもらうためには、
強い意志を持ってもらえるような社員教育が必要不可欠です。

そのための環境づくりが、ようやく整いつつあります。
掃除やコミュニケーションツールなどの物的環境整備があって、
さらにそこに、経営計画書などの共通言語が介在して、
初めて経営理念を共有することができます。

環境整備という“幹”はだんだんと太くなってきました。
あとはそこに水を遣りつづけ、
それが結果的に利益として実を結んでくれるよう、
今後も努力を続けていきたいですね。

 

2009年08月10日

良いことも悪いことも、自分の心や環境が人を作る。

株式会社シャンテ
http://www.chanter.co.jp/
代表取締役 浅田 孝枝氏

従業員数 48名(正社員)

<プロフィール>
1981年 (株)東海会館華寿殿を設立
1994年 全館改装に伴い、社名を(株)シャンテに変更
1995年 館内直営衣裳室を「ソフィア」と名付け、出店
1996年 ソフィアが(株)ソフィアとして登記独立
1999年 名古屋初のハウスウェディング「オ・バルキーニョ」オープン
2000年 ブライダルトータルプロデュース「ソフィア・モダニカ」オープン
     ニューヨーク風レストラン「ザ・キッチン」オープン
2003年 名古屋、栄の自社ビルに「ソフィア」を移転
     プライベートエステティックサロン「ソフィアアムリタ」をオープン
2006年 ギフト事業部「エリル」を新設
     シェフオリジナル商品「招福ろうカレー」販売開始
2007年 シャンテメンバーズクラブ「Cou Cou!Chanter」発足
2008年 ゲストハウスウェディング「アクアリュクス」を
     三重県にグランドオープン

■スタッフさんに求められていることを教えてください。

一見華やかに見えるブライダルの仕事ですが
はとても責任が重い仕事なんです。

お客さまにとって最良の日を演出するために
担当スタッフは挙式当日まで、何度も準備を確認し、シミュレーションします。
プレッシャーで、食事が喉を通らなくなるスタッフもいるほどですからね。

その重圧を乗り切るために不可欠なのは、強い責任感と行動力
そして何より、「新郎新婦のお二人に喜んでもらいたい、最高の一日を創りたい」、
そんな強い気持ちを持っていないと、この仕事はできません。

当社に入社したスタッフは、
ホスピタリティが高まるまで、接客には出しません。
もちろん、年齢や経験に関わらず、です。
心を込めてトイレ掃除をしたり、率先して会場のセッティングをしたり…。
まずは地味で根気のいる仕事を通して、いろいろなことに気付き、
人のために働く喜びを知ってもらいたい。

デビューは、努力を継続して周囲から“シャンテ代表”として認めてもらってから。
みんなその目標に向けて頑張っています。

当社の会社理念の一つに、「喜びを創造する」という言葉があります。
ブライダル、ドレス、レストラン、エステ、ギフト…、
すべての部分で「喜びを創造する」ことが、われわれの仕事なんです。

ただ、この理念を実現するためには、
会社全体で唱和しているだけではダメなんです。
やはりスタッフ個人個人が、
責任を持って状況に応じた判断を下せる実行力を、
身につけてほしいと願っています

「個性は豊かに。でも判断は金太郎飴のように
(どのスタッフ、どの店舗でも、心からの笑顔と心をこめたおもてなしが提供される)」。
そんな会社になれたらいいなぁ、と思います。
「心のべっぴんさんと心のイケメンを目指していこう!」、いつもそう言ってるんですよ。


■浅田さんがスタッフさんに対して心がけておられる事は何ですか? 

個人の人格の上に、シャンテという法人格があるのですから、
「シャンテ(社長)だったらこう考える、こう言う、こう動く」ということを、
念頭に動くことの大切さを、スタッフは分かってくれています。

ですから、ステキな事はステキ。良い事は良い。おかしい事はおかしい。
その場で気付いた事は、言葉に出してコミュニケーションをとるようにしています。
できる限り分かりやすく、相手の心に届く言葉で語りかけることで、
スタッフにとって分かりやすいキャラクターでいたいですね。

スタッフ間で、のびのびと自分の意見が言える環境を作るのも、
私の責任の一つだと考えています。
スタッフの笑顔を見ることが、私の原動力にもなりますから。
スタッフはとってもありがたく、同時に頼もしい存在でもあります。
緊張感の高い仕事だからこそ、楽しい職場作りが大切なんじゃないでしょうか。

■スタッフさんとのコミュニケーションは、どのようにされていますか?

当社では年1回、「シャンテ総会」という会社行事を行っています。
いわば文化祭みたいなもので、
「屋台コンペ」「利きワイン大会」をしたり…。
普段は別店舗で働いていて、顔を合わす機会がないスタッフが一堂に会し、
“シャンテグループの仲間”として、みなで楽しむんですよ。

昨年は、本社において、丸一日の大イベントでした。

午前中はソムリエが企画した、ワインの勉強を兼ねる「利きワイン大会」を実施しました。
研修の終わりには、みんなほろ酔い気分で楽しい時間でしたね(笑)。

午後は運動会。
地下1階から、9階までの全館を使って、「探偵・泥棒ゲーム」をしたんですよ。
チームに分かれ、お揃いのTシャツを着用し、作戦を練ります。
賞金もかかっていたので、みんな燃えていましたね。

遊ぶときは、みんなで思いっきり遊ぶ!
こんな感じです。

一見すると、遊びのイベントに見えるかもしれませんが、
スタッフ同士の仲間意識を強めたり、イマジネーション能力を高めたり、
仲間同士で助け合ったり…スタッフにとってプラスになるものが必ず見つかります。

人を楽しませるのが好きな人たちなので、おもしろいアイデアはいくらでも出ますからね。
これからも続けて行きたいと思っています。

■採用の際、そのようなホスピタリティ度をどのようにして判断されているんですか? 

面接ではできるだけリラックスしてもらい、
本人の素地が見えるまで、納得いくまで何度も面接を重ねます。

会話を重ねることで、当社の理念・価値観に共感してもらえそうかを見させてもらいます。
サービス業ですので、お客さまの気持ちを汲み取ることから始まるお仕事。
たとえばブライダルなら、何も無いところからプランニングして
お客様が夢見ておられる結婚式をカタチにするのは、
そこに向けて100%以上の力を注げる人でないと、絶対にできないことですから。

当社では、営業、企画、制作、準備、当日の披露宴まで、すべてを1人で担当します。
だからこそ、逆にチームワークが大切なんですよ。

お客さまに喜んでもらうために、いかにみんなで知恵を合わせて、仕事ができるか。
「社内の人間関係でストレスを抱える事は、一番無駄な時間」
「その時間があれば、お客さまのために心を配ろう」
言葉に出して、伝えるようにしています。

スタッフ同士がお互いを好きだと思える関係じゃないと、良い仕事はできない。
だからこそ何度も面接をさせてもらって、私が好きだと思える人を採用します。

良いことも悪いことも、自分の心や環境が人を作るんだなぁと、
スタッフから学ばせてもらっています。


■社長に就任されて10年という事ですが、
最初からホスピタリティ溢れるスタッフさんばかりだったのですか?

社長に就任したとき、
当時のスタッフから、「どんな会社にしたいのか」と何度も聞かれました。
みんなも不安だったのでしょう。
新社長の考え方について確認したかったんでしょうね。

そんな私を支えてくれたのが、17歳の時の体験なんです。
父が結婚式場を創業し、初めて結婚式のお手伝いをした時、
「こんな素敵なお仕事があるんだぁ!」と、とても感激したのを覚えていて。
今でも変わらないこの気持ちが、当時新米社長だった私を勇気づけてくれました。

加えて、創業以来の大先輩の従業員さんから
「自分の考え方に合わない人は、辞めてしまうかもしれない。
でもそれを恐れずに、話しなさい。
こんな会社にしたいという“芯”をしっかり持たないといけない」と励まされました。

あっという間の10年。
お客様やスタッフに時に厳しく、そして同時に愛情を受けて育ててもらいました。
今も感謝しています。

今では、この考えに共感してくれたスタッフが、
採用や育成の段階で、シャンテらしさを伝授してくれています。

会社の風土は、生き物と同じ
その時その場所に集うスタッフで、いろいろな風が吹きます。
その風を感じながら、基本の軸を大切に、柔軟に新しい方向へと進めればと思います。

■スタッフ教育としてされている事はありますか?

社外での講演会やセミナーなどの勉強会に行ったスタッフには、
必ずレポートを書いて提出してもらいます。
勉強会って、会社のお金と時間を使って行かせてもらえるもの。
いわばご褒美なんですよ。

それをスタッフが理解してくれていますので、
つくづくスタッフには恵まれているなぁ、と感じています。

たとえばマネージャー自身が参加したいセミナーがあっても、
「この子を行かせてやってください」って後輩スタッフを推薦してきてくれたり。
それを聞くと、本当に嬉しくなります。


■ところで、本社地下にあるレストランのカレーが大人気とお聞きしましたが?

これも当社のフットワークの軽さが、実現した事例なんですよ。

もともと料理長が、お昼のまかないに作ってくれたカレーがあまりに美味しかったんです。
「お客様にも食べさせてあげたい」という意見がスタッフから出て、
じゃあ、レトルトカレーを作ろう、と。

料理長のレシピどおりの味を再現するには、1年近く試行錯誤を繰り返しました。
料理長にも大変な苦労をしてもらいながら『招福ろうカレー』が完成しました。

さらに、あるお客さまから「お店で食べたいなぁ」という言葉を頂きまして…
メインのウェディング業務のかたわら、
できる範囲で木曜日のお昼、限定50食のみ試してみることに。
それがご好評をいただいて、いつも即売状態です。
テレビ取材もたくさん来ていただきました!

■スマイルプロジェクトを気に入ってくださって、
何か始められたそうですね。

最初に「スマイルプロジェクト」の話を聞いたとき、すごく楽しそう!って思いました。
そこで当社でも、
昨年末に「スマイルのプロを選ぶスマイルプロジェクト」を実施する事にしたんです。

新卒1年目のスタッフ2人を、スマイルプロジェクト委員に任命しました。
そして彼らが中心になって、各店舗でのスマイルプロ、
全社でのスマイルキング・スマイルクイーンを、全員の投票で選んだんです。

選ばれた入賞者には、一人ひとり手書きの表彰状を読み上げて渡しました。
嬉しかったのは、ほとんどのスタッフが票を一票は獲得していたこと。
スタッフそれぞれが、お互いを認め合っていることが感じられて、感激しました。
スマイルについて考える、本当に良い機会になりました。